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XEM流出騒動

XEM(ネム)流出騒動とは、2018年1月に大手仮想通貨取引所「コインチェック」が何者かにクラッキング(不正アクセス)され、当時人気上昇中だったアルトコインのネム(XEM/NEM)約580億円相当を不正に引き出された事件です。
コインチェック自身の資産が盗まれただけならまだしも、この580億円分のXEMのほとんどが顧客の資産だったことから大騒ぎになりました。

最終的にコインチェック側が自己資金で460億円を返金対応する形で決着しましたが、返金を可能にしたのは特殊な事情が関係しています。

なぜ流出したのか?

セキュリティの脆弱性

2018年1月26日にコインチェックより、5億2,630万XEM(当時のレートで約580億円相当)が不正アクセスによって盗まれました。
その要因は複数ありますが、もっとも大きな問題は取引所のコインチェックがホットウォレット(インターネットに接続された状態)に仮想通貨を保管していたことです。

顧客の資産はこういった万が一の事態にも備え、オフライン状態で保管するコールドウォレットを利用するのが当たり前と思われていましたが、コインチェックはその当たり前のことを行っておりませんでした。
爆発的に会社としての規模が膨れ上がっていく中で、その規模に合わせたセキュリティ対策の構築が追い付いていなかったのです。
そして犯人は匿名性の高いダークウェブを通じて、盗み取ったXEMを複数の仮想通貨へ交換し、換金したのです。

騒動の結末

流出が発覚した直後より、コインチェックはXEMの売買を停止しました。
被害額が大きかったことから大問題となり、1月29日に財務省関東財務局より業務改善命令が出され、2月3日には被害者の会が結成されています。

セキュリティに対する衰弱性が露わになったことからXEM自体も大暴落したため、コインチェックでXEMを保有していた投資家は、盗まれたXEMが戻ってくるかも分からないまま値崩れを起こすチャートを眺めるしかありませんでした。
この件は誰の目からも明らかなように、賠償責任はコインチェックにあります。当初は2012年に創業し、2014年に仮想通貨取引所へ参入したばかりのコインチェックが、数百億円単位の補償をするのは困難だと見られていました。

しかしその後大手証券会社のマネックスグループがコインチェックを買収し、仮想通貨取引所としての再スタートを図り、2019年4月6日までに相場下落分を考慮した約460億円分を全顧客へ返金する形で決着しています。

マネックスが肩代わりした理由
大企業による買収

XEMの流出分補填はマネックスグループがコインチェックに手を差し伸べたことで解決できました。
マネックスが肩代わりした理由は、すでに仮想通貨取引所としての運営実績や知名度を持つコインチェックを格安で手に入れるためで、実際に僅か36億円で買収しています。

返金額(負債)を考慮しても約500億円で取得できれば採算が合う、という判断に至ったのでしょう。
そして、XEM流出騒動によって抱かれた仮想通貨投資全体へのネガティブなイメージを払拭するため、手厚い補償をしました。

マネックスグループが業界に参入したかったのは、仮想通貨売買の取引手数料が高い、という点に着目したからです。
銘柄や取引方法によっては売買代金の10%近くが取引所の利益になります。

仮想通貨が流行し始めた当初は、その実体の不透明性もあり参入を見送っていました。
今回の事件で大きなダメージを受けているものの、国内最大手の取引所から顧客を引き継げるなど好条件が揃っていたことから、異例の買収劇は起きたのでしょう。

返金

流出前にXEMを保有していた投資家へ対しては、コインチェックより日本円での返金処理が行われました。
返金額は88.549円×XEMの保有数となり、流出時点のレート(約110円)から20%ほど価値が下がった状態での返金となりました。

もちろんそれに納得いかない、という人もいましたが、大半は一度失った資産が戻ってくるということで胸を撫でおろしたのです。
特に返金申請などする必要はなく、顧客情報を元にして2018年4月6日までに日本円での返金が行われました。

安易な投資は禁物

仮想通貨と日本円

XEM流出騒動をきっかけに、仮想通貨取引所は従来以上にセキュリティ面での強化を行うようになりました。
今後も同様の流出事件が起きないとは断言できませんが、国内の大手取引所を条件に安全性は格段に高まったと言えます。

この事件が起きた2018年初以降、仮想通貨の暴騰は止まり、全体的な下落が始まりました。しかし2021年になり、再度仮想通貨の暴騰が起きているのはご存じの通りです。
ただし、ビットコインが2021年4月に最高値の64,000ドル超えをつけてから1ヶ月で半値以下へ暴落したりと、相変わらず仮想通貨の値動きは非常に荒いです。

XEM流出騒動のような不正出金や売買停止トラブルが起こる可能性は今後もないとは言い切れないため、特定の仮想通貨へ集中投資しないことをおすすめします。
XEMの返金対応による事例ができたことから、取引所が倒産しない限りは不正流出時に一定の補償・補填を期待することはできますが、それも取引所が倒産してしまえばお終いです。
こういったリスクも理解した上で、仮想通貨への投資はしなければなりません。

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